『歳の差夫婦が整えて、生きる食卓』第25話『積み重ねた日々と、それぞれの明日』を公開しました。
今回の話は、大きな事件が起きる回ではありません。
魔王も出てきませんし、強敵との戦いもありません。
食卓を囲み、今日という一日を振り返り、明日の予定を話し合う。
ただそれだけの日常回です。
けれど、私はこういう話を書くのが好きです。
物語というと、どうしても劇的な展開や派手な出来事に目が向きがちです。
もちろん、それらも物語には必要です。
ですが私は、それと同じくらい何も起きていないように見える時間が大切だと思っています。
人は毎日が特別なわけではありません。
仕事をして、ご飯を食べて、誰かと話して、眠る。
そんな当たり前の積み重ねの中で少しずつ変化していきます。
真由と瑛太も同じです。
異世界へ転生した二人ですが、毎日が冒険ばかりではありません。
訓練をして、料理をして、失敗して、少しだけ成長する。
その繰り返しです。
だからこそ私は、日常を丁寧に書きたいと思っています。
読者の皆さまが食卓の匂いを感じたり、湯気の向こうにいる二人の姿を思い浮かべたりできるような物語を書きたい。
そんな気持ちで、この作品を続けています。
今回の話はまさにその象徴のような回でした。
玉子焼きを囲む食卓。
リュネ草コーヒーを飲みながら交わす会話。
明日の予定を話し合う時間。
派手さはありませんが、私にとってはとても大切な一話です。
第25話で描きたかったこと
今回の話で一番描きたかったのは、積み重ねです。
タイトルにも入っている言葉ですが、この作品の根幹にあるテーマでもあります。
真由は料理を覚えています。
瑛太は鍛冶に挑戦しています。
リナは長年料理を続けてきました。
ガイルもヴァルドも、それぞれが長い時間をかけて今の姿になっています。
人は突然成長するわけではありません。
昨日できなかったことが今日できるようになる。
今日できなかったことが、来月にはできるようになる。
そうやって少しずつ積み重ねていくものです。
今回、真由はリナの料理スキルが10であることを知ります。
数字だけを見るとすごい話です。
ですが、その数字の裏には長い時間があります。
何度も包丁を握り、何度も鍋を振り、何度も失敗しながら積み上げてきた日々があります。
瑛太が『積み上げてきたんだろうな』と語る場面がありますが、あの言葉はリナだけに向けたものではありません。
真由にも。
瑛太自身にも。
そして作品そのものにも向けた言葉です。
最近の話では、だし巻き玉子が完成しました。
HPポーションも作れるようになりました。
鍛冶では玉子焼き機も完成しています。
一つ一つは小さな成果です。
ですが、それらは突然生まれたものではありません。
前の話でやったこと。
その前の話で積み上げたこと。
さらにその前で失敗したこと。
そうした全てが繋がった結果です。
私はスローライフ作品を書く時、便利になった結果よりも便利になるまでの過程を大事にしたいと思っています。
料理が完成した瞬間よりも、その料理が完成するまでの試行錯誤。
ポーションができた瞬間よりも、その前の失敗。
そうした積み重ねこそが、物語の面白さになると考えているからです。
今回の話は、その考え方が最も色濃く出た回だったのではないかと思います。
連載を続けて感じること
この作品を書き始めてから、改めて感じることがあります。
それは、小説を書くこと自体もまた積み重ねだということです。
最初から上手く書けるわけではありません。
最初から読まれるわけでもありません。
毎日少しずつ書いて。
少しずつ修正して。
少しずつ公開して。
気が付けば話数が増えている。
そんな世界です。
最近では感想をいただく機会も増えました。
Xで声を掛けていただくこともあります。
それらは本当に励みになります。
ですが、それらも一日で手に入ったものではありません。
一話書いて終わりではなく。
十話書いて終わりでもなく。
二十話を超えてようやく見えてきた景色があります。
だからこそ私は、数字だけを追い掛けるのではなく、積み重ねることを大切にしたいと思っています。
PVも嬉しいです。
ブックマークも嬉しいです。
感想もとても嬉しいです。
ですが何より嬉しいのは、『次の更新も楽しみにしています』と言っていただけることです。
物語を読み続けてもらえること。
登場人物たちの日常を見守ってもらえること。
それが作者として一番幸せなことだと思います。
そして次の話では、新しい一日が始まります。
積み重ねた日々の先に何があるのか。
真由と瑛太がどんな景色を見るのか。
これからも一緒に見守っていただけたら嬉しいです。
今後とも『歳の差夫婦が整えて、生きる食卓』をよろしくお願いいたします。

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