AIでイラストを描いていると話すと、よくこんな言葉をかけられます。
「ボタンを押すだけなんでしょう?」
「AIが全部やってくれるから簡単ですよね。」
「絵を描けなくても作品が作れるなんていいですね。」
確かに、AIは一枚のイラストを短時間で生成できます。
ですが、実際にAIで創作を続けていると、「ただボタンを押すだけ」という印象とは少し違う世界が広がっています。
私は現在、小説だけでなく、作品の宣伝やブログ、SNSに掲載するイラストもAIを活用しています。
今回は、私が考えるAIでイラストを描くということについて書いてみたいと思います。
思い描いた一枚を言葉にする
AIは人の心を読むことはできません。
「こんな雰囲気の絵が欲しい。」
そう思っただけでは、理想の一枚は生まれません。
どんな人物なのか。
どんな表情をしているのか。
どんな服を着ているのか。
背景はどこなのか。
時間帯は朝なのか夕方なのか。
暖かい雰囲気なのか、少し切ない雰囲気なのか。
そうした情報を、一つずつ言葉にして伝える必要があります。
私は小説を書いていることもあり、キャラクターの設定は細かく決めています。
髪色。
瞳の色。
服装。
性格。
身長。
視線。
表情。
季節。
その日の物語。
そうした情報を整理しながらプロンプトを組み立てています。
AIは、伝えられた情報をもとに絵を描いてくれます。
だからこそ、思い描いたイラストに近付けるためには、自分自身が何を描きたいのかを理解していることが大切になります。
AIが考えてくれるのではありません。
描きたいものを考えるのは、いつも作者です。
一枚で終わることはほとんどない
AIでイラストを描き始めた頃は、一回で理想の作品が完成するものだと思っていました。
ですが、実際はまったく違いました。
表情は良いのに手がおかしい。
服装は理想なのに背景が違う。
構図は好きだけれど、視線が合わない。
細かな部分を見ると、あと少しが何度も出てきます。
そのたびにプロンプトを見直し、表現を変え、もう一度生成します。
思い描いていた雰囲気になるまで、何十枚と生成することもあります。
完成した一枚だけを見ると数秒で作られたように見えるかもしれません。
ですが、その裏側では何度も試行錯誤を繰り返しています。
私はこの作業が、小説の推敲とよく似ていると感じています。
最初の一稿が完成ではありません。
読み返し、修正し、また読み返す。
イラストも同じです。
納得できる一枚になるまで、少しずつ理想へ近付けていく作業なのです。
AIは創作の幅を広げてくれる
私は絵を描くことが得意ではありません。
もしAIがなかったら、自分の小説をイラスト付きで紹介することは難しかったと思います。
だからといって、AIが創作そのものを代わってくれるわけではありません。
作品の雰囲気に合うイラストを考えること。
季節に合わせた構図を考えること。
キャラクターらしい表情を選ぶこと。
どんな場面を読者へ届けたいのかを決めること。
それらは今でも私自身が考えています。
例えば夏なら風鈴や朝顔を入れる。
冬なら雪景色や温かい灯りを描く。
小説の更新日に合わせて、その話をイメージしたイラストを作る。
そうした何を届けたいのかという部分は、作者が決めています。
AIは、その考えを形にするための道具です。
AIだからこそ学ぶこともある
AIでイラストを作っていると、自然と構図や配色について考えるようになりました。
人物を中央へ置くのか。
視線の先には何があるのか。
背景をぼかした方が主役が引き立つのか。
光はどこから差し込むのか。
以前は気にも留めなかったことを、一つずつ意識するようになります。
もっとこうした方が伝わる。
そんな試行錯誤を繰り返すうちに、自分自身の見る力も少しずつ育っているように感じます。
AIを使うことは、考えなくていいということではありません。
むしろ、より良い作品を作るために考えることが増えたように思います。
おわりに
AIでイラストを描くことに対して、さまざまな意見があります。
「簡単に作れる。」
「誰でもできる。」
そう言われることもあります。
確かに、AIは誰でも始められる素晴らしい道具です。
ですが、その道具を使って何を表現するのかは、人それぞれです。
私はAIを使うことで、自分の小説の世界をより多くの人へ届けられるようになりました。
文章だけでは伝えきれない空気や季節感、登場人物の表情を、一枚のイラストとして表現できるようになったからです。
AIは絵を描いてくれます。
でも、どんな一枚を描きたいのかを決めるのは作者です。
だから私は今日も、小説を書き、イラストを考え、AIと相談しながら創作を続けています。
作品を少しでも多くの人へ届けるために。


コメント